人間の天敵

<人間の天敵/ラストシーン/殺人のフェロモン/複眼の凶像>

【著者解説 2004/11/8】

人間の天敵は人間である。人間は社会的動物である。一人で暮らすよりも、さまざまな能力や才能を持った人間が多数集まって、協力して暮らす方が、より高度な、文化的生活を維持できる。人間が社会的動物と言われる所以である。だが、幸福と高次な文化を追求して集まったはずの人間が、集まりすぎて、生存競争を生み、悪意や憎悪を培う。本来は幸福探求のための社会的システムが、人間不信のシステムとなってくる。人間は人間の天敵であってはならない。だが、現実には、相互に天敵同士となった人間が社会を形成している。この作品は社会の病蝕の底からすくい上げたいずれも100枚前後の中編であるが、病蝕の根は深い。 病蝕の特効薬はあるのか。その悲願を込めて書いた作品である。

文藝春秋
2004.5
*実業之日本社
2006.5
文庫文庫
2008.5

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。


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