喪失

(永遠の至福//準犯人の愛/喪失/一期のクラス会/後朝の通夜/世を忍ぶ花/地球から逃げた猫)

人間は最初に道具を発明して以来、便利さを飽くことなく追求しながら、物質文明を発展させた。幸福を追求したはずの本来の目的が、いつの間にか歪んで、文明はその恐るべき側面を露(あらわ)してきた。風紀は乱れ、道徳は廃れ、恐ろしい病気が蔓延し、さまざまな公害が発生し、ついには、人類は地球そのものを損傷する破壊力まで手にした。

だが、どんなに物質文明の副産物である諸悪がはびこっても、人類はいまや決して石器時代に戻れない。石器時代どころか、車や、ガスや電気や、いや、パソコンや携帯のない時代にすら戻れない。人間はどこまで便利さを極めれば満足するのか。いまや人類は物質と機械の奴隷になり果てようとしている。便利性の鎖につながれて、人間が喪失したものはなにか。このシリーズは、それらの喪失を演材として収集した劇場である

徳間書店
2007.1
*徳間書店
2010.2

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。


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