加藤郁乎賞受賞式

坂井希久子(2008年)
「たまごのひび~小説家入門編より」

2月22日、東京會舘にて加藤郁乎賞の受賞パーティーがありました。
受賞者は我らが師匠、森村誠一先生。
山村教室繋がりでなんと私のような小物まで呼んでくださいました。幹事やっててよかった♪

失礼ながらこの賞のこと、ワタクシ存じませんでした。
聞いてみれば俳句の賞だとか。
ああ、そっか。先生、写真俳句とかなさってるしな。
と納得したのもつかの間、受賞作は「小説道場」という、小説を書きたい人のための指南書でありました。
な、ナゼ????????

そういう疑問は誰もが抱いていたようで、お祝いスピーチの時にも何人か言っていましたね。
ジャンルの枠を超えてしまう、森村先生が偉大ということなのでしょう。

来賓の面々もたいそう豪華です。
森村先生の40年来の盟友 角川春樹氏
同じく40年来の盟友 西村京太郎氏
30年来の盟友 赤川次郎氏
20年来の盟友 内田康夫氏
そして日本相撲協会理事長 北の湖敏満氏

この作家のお三方と森村先生は全員、書籍の売り上げ総数がなんと、一億冊以上!
一億カルテット、と呼ばせていただきます。

ファッションジャーナリストの大内順子氏もいらっしゃっていました。
見てた見てた、ファッション通信!!
子供の頃、父が好きで欠かさず見ていましたから。
もっともウチの父はファッションに関心があるわけではなく、ファッションショーでたまにオッパイ透けた服とかあるでしょ、あれを楽しみに見ていたのだった。
なんと大内さんは森村先生の青学時代のクラスメイトだったらしく、ということは……☆☆歳くらい!!!!????
見えない! お美しい! 超人的にお若い!!
美の秘訣を是非ともご教授いただきたかったです……。

他にスピーチなさった方々も紀伊國屋書店の会長松原治氏であるとか、徳間書店社長の岩渕徹氏であるとか、さすがの大物ぞろい。
ちなみにこの会場の3階下では直木賞・芥川賞の授賞式をやっておった。

それにしても森村先生の受賞スピーチはよかった。感動しました。
細部は違っていようが、大まかには以下の通り。

かつての大戦で、激戦の中、ヨーロッパ戦線のある部隊長が詩人を安全圏に送り届けるために一個小隊を割こうとした。
詩人は「こんな厳しい戦況で、何の役にも立たない私のために一個小隊を割いてもらうなど申し訳ない」
と断ろうとしたが、部隊長は
「本来ならあなたのために一個中隊を割きたい。なのに一個小隊しか割けず申し訳ない。戦乱の世はいつまでも続くものではない。必ずその後には平和な時代がやってくる。その時にあなたは必要なのだ。我々はそのためにあなたを守るのだ」

敗戦を少年時代に熊谷で迎えられた先生だからこそ、言えることだと思う。
「小説道場」にも、戦時中に文学なんぞにうつつを抜かすとは軟弱である、とされ、配属将校に見つかりでもしたら大変なことになるというお話があった。
文学をはじめ芸術が迫害され続けた時代を切り抜け、大空襲を生き残ってくれたおかげで森村文学がかようにも花開いたのであります。

今は若者の活字離れなんて騒がれ、本も売れなくなってきているけども、文学は絶対に死なないだろう。
だっていくつもの戦渦を切り抜けてきたのだもの!

それにしても作家というものは、皆スピーチが上手いなぁ。
聴衆の気をそらさず、笑いと感動を絶妙に盛り込んでくれる。
私もスピーチの練習せんとな!

二次会で並み居る編集者、有名人の前で突然先生から「女王、スピーチしろ」と指名されたけど、緊張のあまり何を喋ったか全然覚えておりません。
私のスピーチよりも「SMクラブの女王様」という紹介に皆さん関心をそそられていたもよう。
掴みはOK! な職業でよかった……。

よいパーティーでありました。