地果て海尽きるまで(上下)

【著者解説 2004/11/8】

(上巻)
モンゴルの一小部族から出て、史上最大の帝国を築いたチンギス汗、彼を突き動かした原動力はなんであったか。草原に羊を追うだけの遊牧の暮らしなら、羊五 十頭、馬二十頭もいればハッピーに生きていける。地果て、海尽きるまで壮大な野心を追った若き日のチンギス。テムジンの半生に、いまは失われたロマンの源流を探った。夢というものがあるとすれば、まさにチンギスの夢の体現こそ、青春の野望の典型であろう。青春の幻影をチンギスに託して、私の作品世界を展開してみた。

(下巻)
強大な宿敵を次々に倒して、巨大化するチンギスの下に人材は集まり、モンゴルは飽くことなく膨張していく。これは後進国が先進国を食う驚異の侵略であった。だが、あまりにも拡大した帝国は、内に後継者争いの芽を蓄え、発達しきった積乱雲のように分裂していく。心を後図に残しながら逝ったチンギスの後、帝国の蒼き狼たちが辿る興亡史は、日本をも巻き込み、瓦解の坂を転がり落ちる。大帝国の崩壊に伴う夥(おびただ)しい人間群像のドラマは、まさに歴史の緞帳(タペストリー)であり、歴史こそ小説の宝庫である観を改めて深めた。

角川春樹事務(上)
2000.12
角川春樹事務(下)
2000.12
*角川春樹事務所(上)
2003.12
*角川春樹事務所(下)
2003.12
ハルキ文庫(上)
2005.6
ハルキ文庫(下)
2005.6

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。


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