マリッジ

【著者解説 2002/10/4】

結婚とは面白い人間関係である。赤の他人の男女が出会って、生涯を共にしようという契約を交わす、結婚のパートナーは他人性が強いほどよい。大げさな結婚式を挙げても、すぐに離婚したり、あるいは離婚癖がついて、何度も再婚したりする者もいるが、一生を共にしようと期待して結婚する者が多数派である。最近 はノンセックス、ノーキッドを条件にした結婚もあるが、男女の結びつきで、結婚ほど排他的、継続的な性関係を前提にしているものはない。

カップルの間に子供が生まれると、他人性と異性感が薄くなり、同化してくる。結婚に際して、二人が神の前で誓った愛は異性愛であることに気がつく。牧師や神主は、愛は永遠であると説いたが、愛にはさまざまな種類があることを悟ったカップルは、夫婦として年季を入れたと言えるであろう。

今日の結婚は以前ほど深刻に意識しない。他人同士の契約であるから、これの取り消しや解除に遠慮はいらないという意識である。だが、結婚はやはり行きずりの一回性のセックス(ワンナイトスタンド)や、手を握り合うのとはちがう。愛なき結婚も可能であるが、愛があった方が望ましい。地球上には男と女の二種類しかいないのに、結婚によって、ただ一人の異性に限定されるのは矛盾であるとおもう人もいるであろう。また男と女は誰とでも適合(アジャスト)するが、鍵と鍵穴のように排他的にフィットする組み合わせは一組しかないという考え方もある。

結婚は情事とは異なる。事実上、結婚と変わりない情事もあるが、情事に近い結婚はたいてい長つづきしない。もてない男を主人公に据えて、結婚の本質を探ろうとして書いたのがこの作品である。

角川書店
2001.7
角川書店
2003.7
角川文庫
2005.10

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。


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