サラリーマン悪徳セミナー

【著者解説 2002/8/1】

私の作家生活を通して記念碑的な第一作。当時、ホテルで所を得ず、くすぶっていた私に、大学時代、クラス誌に書いた私の文章に注目していた同学の、出版社に入社した友人が、ある実務雑誌で、サラリーマンの心理を解剖したエッセイを書いてみないかと声をかけてくれた。
副業は禁止されていたので、母親の名前を取って、雪代敬太郎というペンネームで書いた。これをホテルの常連客であった元現代俳句協会会長・横山白虹氏に贈呈したところ、松本清張氏に紹介してくださった。
その際、白虹氏に伴われて、5分間という約束で清張邸に赴いた私を(写真館参照)、清張氏は一顧だにせず、白虹氏とばかり話していた。清張氏の注意を惹こうとして、私は清張氏のある作品のホテルの描写にミスがあると言ったところ、清張氏は初めてぎらりと眼鏡越しに私の方へ目を向けて、「どこがどうちがっているのか、言ってみたまえ」と言った。
私がその箇所を説明すると、清張氏は奥さんにノートとペンを持参させ、「ホテルのフロントのシステムについて話してくれ」と言った。5分の約束が2時間の取材となって、辞去するとき、清張氏は上機嫌で、私の第1作に60字の推薦文を書いてくださった。

池田書店
1965.11
ごま書房
(会社とつきあう法)
1977.5
角川文庫
1980.11

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