空白の凶相

団地の2DKで妻と子と暮らす井沢は幸せな日々を過ごしていた。ある時から、寝ている息子の立てる気配が気になり、妻との夜の生活がうまく行かなくなる。夫婦の営みを覗かれているという不安感は彼が子どもの時に両親から受けた酷い仕打ちが原因だった。不安はやがて、彼が意識の深層に閉じこめた“顔のない男”の記憶に結びつき彼を破滅に導いていく―子どもの心に刻まれた傷痕を描く表題作など傑作六編。

森村誠一ベストセレクション (光文社文庫) 

〈空白の凶相/完全犯罪の座標/終身不能囚/凶原虫/うぐいす殺人事件/集合凶音〉

光文社文庫
2010.12

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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