高層の死角

東京の巨大ホテルの社長が堅牢な密室で刺殺された。捜査線上に浮かんだのは、事件の夜に刑事の平賀とベッドをともにしていた美しき社長秘書。状況証拠は秘書と事件の関係を示していたが、間もなく彼女も福岡で死体となって見つかった。なぜ彼女は社長殺しを計画し、東京から遠く離れた福岡で殺されたのか。愛した女性の真実を求め、平賀の執念の捜査が始まる―。鮮やかなアリバイ崩しが光る、江戸川乱歩賞受賞の傑作。(「BOOK」データベースより)

【著者解説 2002/8/1】

『大都会』以後、那須氏は数作、立てつづけに書き下ろし小説を出版してくれたが、まったく売れない。さずがの那須氏も頭を抱えてしまった。

苦肉の策で、出版と同時に、ぞっき本として神田の古書店に流すというような離れ業もやった。それでも売れない。当惑した那須氏は、ふと私に、「きみの作品には推理性があるから、推理小説を書いてみてはどうか」とサジェスチョンをくれた。そして書き下ろしたのが本作品である。

乱歩賞を受賞したとき、那須氏が最も喜んでくれた。受賞式において私は、「昨日までは会社のために働いたが、今日からは自分自身のために働きます」と挨拶した。

講談社
1969.8

*講談社
1972.9

講談社文庫
1974.4

角川文庫
1977.9

*光文社
1984.4

*青樹社
1993.9

廣済堂文庫
1997.7

講談社文庫
(江戸川乱歩賞全集)
1999.9

ハルキ文庫
2000.6

2009.10
祥伝社文庫

2015.2
角川文庫

双葉社(コミック)
1992.7

中国語版
「高層的死角」
1998.7

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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