【著者解説 2002/8/9】
「週刊小説」峯島正行編集長から、毎週80枚の連載の依頼を受けた。一瞬、私は耳を疑った。週刊誌の連載はせいぜい15~16枚が相場である。これを週80枚とは、峯島氏が単発と勘違いしているのではないかとおもった。だが、峯島氏の勘ちがいでもなく、私の聞きちがいでもなかった。
引き受けたものの、さすがにまいった。気がつくと、窓がしらじらと明るくなっていることが何夜もあった。早朝、時ならぬ訪問者があった。光文社の窪田清氏(『新幹線殺人事件』参照)と多和田輝雄氏である。朝駆けの陣中見舞いであった。ファックスもEメールもない時代、編集者と作家の熱いスキンシップによって書き上げたような作品である。
*光文社 1972.5 |
角川文庫 1977.5 |
*青樹社 1992.7 |
光文社文庫 1994.8 |
ハルキ文庫 1998.4 |
中央公論新社 2005.4 |
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。