(科学的管理法殺人事件/公害殺人事件/殺意の架橋/虫の息/電話魔/虚無の標的〉
【著者解説 2002/8/16】
当時、乱歩賞受賞者は「小説現代」にまず短編を発表するのが慣例となっていた。「小説現代」の関門を潜り抜けないと、他誌から注文が来ない。だが、提稿しても提稿しても突き返された。新人の作品としてのインパクトに欠けるというのである。乱歩賞を受賞すれば、直ちに流行作家への道が開けると錯覚していた私は、自信を失ってしまった。
その間、夏樹静子氏の作品が同誌の巻頭を飾った。私はますます落ち込んだ。そして、6本目に提稿したこの作品が、ようやく掲載の運びとなった。いま読み返しても、当時の苦悩が滲んでいるような作品である。
角川文庫 1975.5 |
青樹社 (虚無の標的) 1975.6 |
スポニチ出版 1978.1 |
双葉文庫 1996.7 |
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。