【著者解説 2003/3/6】
星座には伝説がある。子供のころ、夏の夜、縁台に寝ころがって星座にさまざまな物語を想像した。だが、私が物語を寄せた星座には、たいていすでに伝説が先行していた。私は伝説のない星座を探した。伝説のない星座に自分の物語をつくる。それは私の子供のころの一つの夢想(ビジョン)であった。だが、伝説のない星座はなかった。たとえあったとしても、夏の縁台に寝転がって探し出せるような伝説のない星座はなかった。この当時の想いが、この作品を書かせた。私は伝説のない星座を空に描くかわりに、原稿用紙に描いたのである。
*光文社 1985.7 |
光文社文庫 1989.12 |
祥伝社 (ノン・ポシェット) 1995.6 |
ハルキ文庫 1998.6 |
徳間書店 2005.3 |
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。