【著者解説 2002/8/16】
20代から30代にかけて、しきりに山へ登った私は、いずれ本格的な山岳小説を書きたいと願っていた。その舞台をあたえてくれたのが、当時「週刊サンケイ」の石井啓夫氏である。石井啓夫氏は御父君が2・26事件の主役・岡田啓介首相と親しかったところから、啓夫と命名されたそうである。その話が記憶に刻まれていて、後日、『人間の剣』に2・26事件を描いた。
『未踏峰』連載中、「週刊サンケイ」は「SPA!」と名前を変えた。このように連載中、雑誌が誌名を変更したり、リニューアルしたり、掲載雑誌がかわったりしたケースは、私の場合、『人間の剣』が「週刊読売」から「読売ウィークリー」、『太平記』が「野性時代」から「小説王」、『夜明けのコーヒーを君と一緒に』が「週刊小説」から「J-novel」、『虹の生涯』が「歴史と旅」から「歴史読本」(現在連載中)などがある。雑誌の変遷に耐えて生き残った作品という気がして、ひときわ愛着が強い。
集英社(上) 1989.5 |
集英社(下) 1989.5 |
*光文社(上) 1991.8 |
*光文社(下) 1991.8 |
集英社文庫(上) 1993.5 |
集英社文庫(下) 1993.5 |
角川文庫(上) 1995.3 |
角川文庫(下) 1995.3 |
徳間文庫(上) 2010.6 |
徳間文庫(下) 2010.6 |
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。