平家物語第1巻

平安の人間絵巻が鼓動する、超大型歴史小説。平安後期の都に、ひとりの男子が誕生した。平清盛。武士社会におけるこの新星が、やがて堂上に上がり、貴族の天下の中で次第に頭角を現していく。そして天皇家を巻き込んだ源平相まみれた骨肉の戦い。また宿敵、源義朝との対決。いわゆる保元・平治の乱を通して、いよいよ清盛の権勢はふくれ上がる。第一巻では、清盛を中心に、平氏一族の野望と時代の人間模様を克明に描く。

平安後期の都に、ひとりの男子が誕生した。平清盛。武士社会におけるこの新星が、やがて堂上に上がり、貴族の天下の中で次第に頭角を現していく。そして天皇家を巻き込んだ源平相まみれた骨肉の戦い。また宿敵、源義朝との対決。いわゆる保元・平治の乱を通して、いよいよ清盛の権勢はふくれ上がる。第一巻では、清盛を中心に、平氏一族の野望と時代の人間模様を克明に描く。

【著者解説 2002/8/9】

「週刊ポスト」には『暗黒流砂』、『蟲の楼閣』と、すでに2作連載したが、第3作目の執筆依頼がかかった。当時、『平家物語』の構想をあたためていた私は、好機到来とばかりに売り込んだ。当時の編集長・岡成憲道氏は推理小説の掲載を考えていたようであったが、同誌元編集長・野口晴男氏、前編集長・関根進氏の2人が森村平家物語は面白いのではないかと援護射撃をしてくれて、岡成氏もその気になった。

こうして平清盛の出生から源頼朝の最期までを描いた全6巻の森村版『平家物語』が完成した。
岡成氏はこの連載の好調に気をよくして、鎌倉幕府の滅亡、南北朝の動乱に至るまで、すでに私が完成していた『太平記』まで書き継いでもらいたいような意向であったが、へとへとになっていた私は、頼朝の死をもって筆を止めた。いまにして思えば、せっかく岡成氏が提供してくれた千載一遇の機会を逸した悔いが強い。その岡成氏もいまは亡い。この作品は連載終了後、単行本、新書、文庫と発刊され、当時の担当編集者・阿部剛氏が「連単新文」という新語をつくった。いまはこれに全集の全を加えたい。

小学館
1994.2

*小学館
1998.1

小学館文庫
2000.1

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。