【著者解説 2004/11/8】
「山を犯罪に利用する者は決して許さない」。
山岳警備隊長の決意に挑戦するような巧妙な犯罪が、北アルプスで発生した。それが遭難か、犯罪であるかの見分けすらつかない難解な事件が、捜査を進める間に、中央官庁の腐蝕につながっていく。壮大なアルプスの自然と、人工の極致である大都会を対比しながら、犯人を追いつめた暁に明らかにされた恐るべき真相 とは。
筆者の青春の郷愁と共に描きながら、登山の対象として人間が関与する以上、山も汚染されざるを得ない悲劇を描いた。もしかすると、山を犯罪に利用した者は 筆者自身であるかもしれない。人間のおもわくとは関係なく、今は遠い山となった若き日の山は、永遠の青春の郷愁である。
中央公論新社
2004.8
*中央公論新社
2006.9
中公文庫
2009.4
双葉文庫
2015.12
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。