【著者解説 2002/8/16】
日本共産党機関紙「赤旗」に初めて連載された作品。当時勤めていたホテルに、国東半島出身の女の子がいて、おたがいにほのかな好意を抱き合っていた。彼女から国東の風物や方言を聞いて、一度行きたいとおもいながら、そのまま機会を得ず、この作品の舞台に使った。私のイメージで描いた国東半島であったが、後に現地を踏んで、ほとんどイメージとちがっていないのを確かめて驚いた。
年1回の家族参加の赤旗祭にも招かれ、宮本顕冶氏、不破哲三氏、上田耕一郎氏などと親しく語り合った。広大な会場満杯の参加者を前に舞台に上がり、「全政党の中で共産党は最も好意を持っているが、まだ政権を取ったことがないので全面的な信頼はおけない。一歩の距離をおいてつき合っていきます」と挨拶をしたら、すかさず聴衆の中から「半歩にしろ」と声をかけられた。この作品において、下里正樹氏と出会い、『死の器』を経て、『悪魔の飽食』へとつながっていく。
*光文社 1975.6 |
角川文庫 1981.1 |
光文社文庫 1991.2 |
*青樹社 1995.8 |
ハルキ文庫 2000.5 |
徳間文庫 2003.6 |
ワンツーマガジン社 2007.12 |
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。