【著者解説 2002/8/9】
ホテルマン時代、山仲間と共に、いまはダムの底に沈んだ湯俣林道から伊藤新道を経由して、三俣蓮華岳、雲ノ平へ登ったことがある。そのとき伊藤新道の開発者・伊藤正一氏と偶然同行して、これが縁になって『虚無の道標』を書いた。
その後、伊藤氏と親しい交際がつづいて、今度はヘリで雲ノ平に招待された。あえぎあえぎ2日間かけて登った長い山道を、たった10分で雲表の楽園へと飛んだ私は、三俣山荘を根拠地に雲ノ平に数日遊んだ。このとき戦争と平和をテーマにした『青春の源流』の構想を得た。
この作品は『悪魔の飽食』と並行して執筆されただけに、特に感銘が深い。『悪魔の飽食』と表裏一体をなす、私の青春も織り込んだ大河小説である。
講談社 1983.11 |
講談社文庫 1987.1 |
角川文庫 1990.12 |
*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。