棟居刑事の復讐

何度事件を解決しても、惨殺された妻子は戻ってこない。それでも社会悪に立ち向かう刑事、棟居弘一良。同僚の横渡刑事が帰路、女性を助けようとして刺殺された。新宿のホテルの駐車場では女性の死体が発見される。同僚の復讐を誓う棟居たちは、大物政治家の女婿になろうとする人気画家の大江雅弘に行き当たる。過去を消し去って野望を実現しようとする青年が、事件の鍵を握っているのか、それとも!? 森村ミステリーの真骨頂。

【著者解説 2002/8/16】

私はシリーズキャラクターをつくらなかった。名探偵の能力と行動範囲に作品世界が限定されるのが狭苦しかったからである。だが、あるとき、角川春樹氏と会食をしていたとき、シリーズキャラクターをつくったらどうかというサジェスチョンを受けた。

シリーズキャラクターは毎度お馴染みの登場人物で、作品がマンネリ化する危険性もあるが、同時に読者が作品と登場人物により親しみを持ってくるというご意見に、なるほど、もっともと考え直して、以前『人間の証明』に登場した棟居刑事をシリーズキャラクターとしてカムバックさせた。その第1作が本作品である。

*角川書店
1993.1

角川文庫
1996.9

講談社文庫
2015.8

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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