ヒマラヤ物語

俳優榎木孝明が描いたヒマラヤの山、街、人々の暮らし。澄んだ風景を映しとった水彩画に、作家森村誠一の文章が添えられ、すばらしいハーモニーが生まれる画文集。

【著者解説 2002/8/27】

学生時代、井上靖著『氷壁』がベストセラーとなった。挿絵は故生沢朗氏である。『氷壁』の後、生沢朗氏の『氷壁画集』が出版された。新聞連載中の名場面を、絵を主体に井上靖氏の文章をつけて再構成したものである。この画文集は『氷壁』をビジュアルに再現した。

学生時代、『氷壁画文集』を初めて目にしたとき、自分も将来、こんな本を出したいとおもった。この夢が後年、榎木孝明氏の『ヒマラヤ画集』とコンビを組んで実現した。 画文集に先立ち、榎木氏は私をヒマラヤに誘った。「旅はきついほうがいいですよ」榎木氏は余裕のある笑いを見せた。学生時代、盛んに”武者修行”をしていた私は、榎木氏の「きつい旅」の意味がよくわかった。だが、ヒマラヤとなると、きつさのスケールがちがうであろう。体力に自信がなかった私は、榎木氏の誘いを辞退した。

ヒマラヤは私にとって見果てぬ夢である。その夢の熱さが、榎木氏のきつい旅の成果とどんなハーモニーを奏でるか、読者の評価に委ねる以外にない。

角川春樹事務所
1996.12

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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