ビジョン

会社人間は、会社の設定したポリシー目的に、自分の人生の目的を同心円のように合わせなければ主流には乗れない。会社のポリシーに忠実である限り、会社の保護は厚く、その給養は栄養満点である。ただ、一度限りの人生を、他人(会社)が設定した目的のために費やしてしまってよいのか? そんな素朴な疑問を持った一人のサラリーマンが、個人としての目的(ビジョン)を持って、歩き始める。だが、会社は社員のそんなわがままを許さない。

会社は社員の労働力や能力を求めるだけではなく、その精神までも支配しようとする。個に目覚めた組織の歯車が、会社総ぐるみの不正を嗅ぎつけて、たった一人の反乱を企てる。彼に果たして勝ち目はあるのか。組織と個人、全体の目的と個人の目的の衝突、これまで会社一筋の人間が、会社に背くことは、家族や家 庭の喪失をも意味していた。喪失と同時に得た新たな愛、それは血のにおいのする愛であった。

実業之日本社
2005.4

*実業之日本社
(ビジョンの条件)
2007.5

実業之日本社文庫
(ビジョンの条件)
2011.2

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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