鬼子母の末裔

根本景子は一人息子・圭一の結婚式当日、その妻となった佳枝に対する殺意を固めた。景子に花束を贈呈する時ニヤリと笑った佳枝の顔に、自分の“同族”と感じたからだ。その半生で息子を守りたい一心から“完全犯罪”による殺人を繰り返した姑と、息子を食おうとする嫁。最後まで“神”になれなかった鬼子母の行く末を描く表題作を含む傑作六編の凄絶なる競演。

森村誠一ベストセレクション (光文社文庫) 

〈鬼子母の末裔/蜜葬/禁じられた墓標/高層の墳墓/神風の純愛/ラストファミリー〉

光文社文庫
2011.4

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。