幻の墓

ガスタンク爆発事件と毒入り粉乳事件の責任者の汚名をかぶり、死んだ父たちの恨みをはらすため、二人の青年が社員として憎き企業へ入り込んだ。二人は交換復讐を提案し、互いに情報を交わしながら、父たちを死に追いやった腹黒い人間たちをあらゆる手段で陥れ、追いつめてゆく。青年たちの復讐を通し、企業悪を告発した著者渾身のサスペンス。

【著者解説 2002/8/30】

ホテルマン時代、社内の売店でよくサボった。売店の書棚で『青い殺人者』という本を見つけて、なにげなく買った。読み始めたら途中でやめることができず、最後まで一気に読み終えた。著者は石原慎太郎氏である。あとがきに、正確な文言は忘れたが、自分が本来目指す方向の作品ではないというようなことが書いてあった。だが、これが石原氏の最高傑作であると、いまでもおもっている。『青い殺人者』に刺激を受け、競うようにして書いたのが、この作品である。実は『大都会』よりも先に書き上げて、筐底に温めていた。

青樹社
1967.11

サンケイ新聞社出版局
(連続復讐殺人事件)
1971.11

*実業之日本社
1975.12

角川文庫
1976.2

*徳間書店
1977.4

廣済堂文庫
1993.11

徳間文庫
1997.1

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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