新幹線殺人事件

ひかり66号のグリーン車で発見された刺殺体。被害者は関西の芸能プロダクションの実力者。捜査本部は背後に万博の巨大な利権を巡る二大芸能プロの暗闘をつきとめ、有力な容疑者が浮かびあがる。だが、犯行当時、容疑者はひかりに絶対に追いつけないこだまに乗車し、しかも二重三重の鉄壁アリバイが…。独創的な時間トリックとアリバイ崩し。そして、欲望渦巻く芸能界の裏側を抉る社会性。推理小説史に残る屈指の名作。「BOOK」データベースより

【著者解説 2002/8/1】

受賞作以後、鳴かず飛ばずであったが、当時、日本の推理小説のメッカとされていたカッパノベルスから声がかかった。そして書き下ろしたのが本作である。だ が、百数十ヶ所の朱が入って、戻されてきた。これを、とにもかくにも修正して、ようやく出版の運びとなった矢先に、光文社闘争が発生して、オクラになってしまった。

争議は泥沼化し、業務はいつ再開されるかわからない。数社から声をかけられたが、担当の窪田清氏の必ず出版するという言葉を信じて待った。ようやく1年 後、光文社の業務が再開して、そのトップバッターにこの作品が選ばれた。大藪春彦氏の作品と共に、全五段の広告に、私はおもわず目頭を熱くしてしまった。

*光文社
1970.8

角川文庫
1977.1

光文社文庫
1988.1

*青樹社
1993.4

ハルキ文庫
1997.5

光文社文庫
2004.3

角川文庫
2008.5

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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