密閉城下

都内高級住宅街のマンションで絞殺された不倫の人妻。六本木のディスコの照明落下事件に巻き込まれ死んだ美貌のゲイ。何の関連性もないふたつの事件は、会津若松に関係していた。事件の真相を追う被害者の夫は、亡き妻の足跡を追って会津に向かい、謎の美女と出会う。だが、その美女までが犠牲に…。情緒豊かな会津で何が…。密室トリックを駆使した本格長篇推理。

【著者解説 2002/9/5】

岐阜県の郡上八幡と福島県の会津若松をそれぞれ別の機会に取材に訪れ、城下町の醸し出す歴史の香りを満喫した。幕末の白虎隊の墓地に詣で、幕府軍が巻き返した場合の保険として郡上藩から派遣された凌霜(りょうそう)隊 の存在を知り、この作品の構想が浮かんだ。一小藩が官軍と幕府の狭間にあって、その生き残りのために犠牲にされた若者たちの悲劇が、歴史の風化の中で忘れられ、二つの城下町を訪れる観光客は多くとも、山峡に奇跡のように留められている歴史情緒の源流に悲劇を探す者は稀である。ただし、この作品は推理小説で ある。

中央公論社
1991.12

*中央公論社
1993.3

中公文庫
1995.3

ケイブンシャ文庫
2000.1

廣済堂文庫
2003.3

徳間文庫
2007.6

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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