集団的自衛権(東京新聞インタビュー2014年1月)

東京新聞インタビュー(2014年1月)

全国で相当数の人が、言論や報道の自由を制約する恐れがある特定秘密保護法案への反対運動に加わったにもかかわらず、議員の数の力で強行採決された。安倍晋三首相は選挙で勝ったとはいえ、民主党の失政で転がり込んだ「便乗」内閣。にもかかわらず、国民の声に耳を貸さず成立させた秘密法は今後、民主主義を壊す軸になる。民主主義はもろく、いったん壊れると回復するのは難しい。このまま改憲まで暴走すれば、安倍首相は不朽の汚名を残すのではないか。

政権が進める中国包囲網も軍拡競争を誘発するだけだ。靖国参拝にしても中韓に塩を送る(日本批判の材料を与える)結果になった。戦争もなく安らかに英霊を守っているのは、多大なる戦争の犠牲の上にできた不戦の誓いである憲法九条で、中国包囲網ではない。

終戦の日の未明に埼玉県熊谷市で空襲を受け、家を焼かれた。治安維持法下で文学少年だった私は、恋愛小説すら没収された。安倍首相が会見で、「特定秘密保護法が通常の生活を脅かすことは断じてあり得ない」と断言したが、担保はなにもない。治安維持法も当初はそんな目的ではなかった。悪法は、悪貨が良貨を駆逐するようにどんどん悪くなる。政権が交代すれば、悪法の責任を取れなくなる。歴史は繰り返す。法案は人類の天敵・戦争から学んでいない。

法成立間際に官僚が官僚をチェックする機関の粗製乱造を見ても、いかに秘密法の作成、強行成立の過程がずさんであるかがわかる。これからは、こういう〃誘戦〃法律ができたことを国民が忘れず、廃案に向けて声を上げ続けることが大切だ。

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