独裁者は命の前に人生を奪う

 八・三〇安保法案反対の最大規模の集合に参加した。地下鉄駅に降り立ったとき、すでに改札から動けないほど参加者が集まっている。参加者は東京や近隣県だけでなく、全国から集結したようです。それほどに現政権の暴走に対して国民は怒りと抗議のために国会の前に自発的に集結したのです。当然それぞれの参加者は費用と時間を捻出して集まっています。戦争を知らない国民が増えたとはいえ、七十年以前、支払った貴重な犠牲と、永久不戦を誓った憲法を一代の政権が国民を無視して戦争可能国家に改変したことに、日本は自由と平和の夢を破られました。

 安倍政権は立ち上がりから胡散臭いにおいを発していました。第一は、首相の側近を都合のよい人物で固め、第二に、尊い犠牲を踏まえて獲得した世界に誇る永久不戦の支柱9条を表門から攻撃して意外な強固さに、裏門へ回り本丸の9条を勝手に解釈改変し、既存毀損の安保に加えて国民と国会を置き去りにして、国民的認知を得ている日本の用心棒自衛隊を、一人勝手に「我が軍」として超安値で米国に売り払いました。これによって日本が得たものは米国の口だけの尖閣支援であり、売り飛ばした大切な用心棒を米国の命令次第、世界のどこへでも派遣する手形を発行してしまったのです。それだけに飽き足りず、沖縄の叩き売り、無責任の原発再稼働、教育を日本の前科隠蔽に利用し、戦争法案を衆議院で強行採決、今や後半参議院採決を狙っています。

 国会で圧倒的多数を占めた与党の「一番偉い人」が、閣議とはいえほとんど独裁で決議しました。

 つまり、多数決を偽装しながら、永久不戦の誓いを、一人の独裁者によって決定したわけです。

 歴史を顧みれば、戦争はほとんどすべて一人の独裁者の意志によって行われています。

 政権およびその組織に忠誠を誓った者は厚い庇護を受けます。それに対して反(アンチ)独裁者の国民は、どんなに多数が結集し、ノーモア戦争、自由と民主主義を守るための運動を起こしても、一人一人が仕事、営業時間、経済力、体力、家族など、庇護を受けることなく、一人一人の意志や、自由を守るために戦わなければなりません。巨大な権力を持つ独裁者対、自由を守るための戦いは、国民が絶対的なハンディキャップを背負わなければなりません。日本を一人の独裁者の私物にしてはいけない。圧倒的な独裁者、権力集団に対して我々国民がハンディキャップを背負いながらも、決してあきらめてはいけません。先日、全国百万、国会前に十二万、国民の白熱したエネルギーを維持することは、戦後七十年に揺れる日本の未来の分岐点になります。

 国対国が宣戦布告しての戦争は、もはや時代錯誤であり、自衛隊という強い用心棒に護られた日本は、世界に誇る永久不戦国家として、国民すべての人生を壊すことのないシステム構造にしなければなりません。永久不戦は幻想ではなく、軍事力による抑止力こそ幻想です。まず国民一人一人が、独裁者によってただ一度の人生を破壊されぬようにすべきです。

 ノーモア戦争。ひとの人生を勝手に奪うな。

「8・30全国100万人抗議行動」にて

IWJ Webサイトの記事はこちら→ http://iwj.co.jp/wj/open/archives/260728

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