夢の原色

少年期のある体験から、アブノーマルな性的嗜好を持つようになった警視庁防犯部の新開征記は、高級娼婦である恋人・棚川貴代子と、夜毎快楽の極みをむさぼる。そんなふたりの周囲で立て続けに起こる殺人事件。それらはすべて“あの事件”につながっていた。復讐か、訣別か。19年前の忌まわしい記憶に性と人生を狂わされた男たちが、いま、それぞれの決着をつける…。艶やかに描かれる最新性風俗が連続殺人の謎と妖しく絡み合う、森村文学初の過激官能推理小説。

【著者解説 2002/8/30】

幻冬舎社長・見城徹氏(当時角川書店)から、スポーツニッポン新聞社、当時編集局長・神戸陽三氏を紹介されて、同紙に連載の運びとなった。池辺晋一郎氏か ら、「自分は森村小説総合病院の患者です」と言われて恐縮したが、私の作品系列には婦人科がなかった。この機会にと書いたのがこの作品である。

だが、連載終了後、単行本となったとき、私はなんとなく気恥ずかしくて、定期寄贈者に贈るのを控えた。後に文庫化されたとき、改めて読み返し、これならば寄贈してもよいのではないかとおもい直して、約1000人の私の人脈に配った。私の作品の中では一見地味で、派手な作品である。あるいはその逆か。

角川書店
1995.6

*角川書店
1998.5

角川文庫
2001.5

講談社文庫
2006.11

*は新書サイズ、()内は別題名、複数作品収録の場合ならびに長編選集は〈 〉に内容を示した。◇は再編集本など。

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