権力の私物化(朝日新聞2014年5月10日)

安倍政権の暴走は、ますます激しくなっている。護憲派、改憲派それぞれの理論を聞いていると、双方共に尤もな論陣を張っている。私は護憲派であるが、①首相に都合のよい独断人事から始まって、②改憲をし易くする96条改定、③特秘法強行採択、④原発再稼働、⑤集団的自衛権行使容認、そして最高権限を振りかざして、閣議前の素案断行などを見ていると、ふとおもい当たることがあった。

それは世界に悪名高い各国独裁者たちの言動と実によく似ていることである。

彼ら独裁者は、国民や国家のためではなく、自分の権力を拡大、維持、本人の私的執念を実現するために、権力を私物化している。

戦争は国民から基本的人権を悉く奪い、勝敗がつく前に大量の国民の命が失われ、生存者も恐怖政治の下、精神を統一されている。

人類の天敵・戦争で学んだ教訓を改変しようとして独走している安倍総理は、「ナチに学べ」と言われた通り、祖父から引き継いだ家族的執念をラッキーにつかみ取った最高権限にものを言わせて、「美しくみずみずしい」日本を、恐怖政治下の戦争ができる国へUターンさせようとしている。そして総理も与党のほとんども、戦争を体験していない。

安倍総理は、国民や国のためではなく、個人的な信念を貫こうとしているのではないかと疑念を抱かせる。

―朝日新聞 2014年5月10日付掲載の原文―

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