集団的自衛権(埼玉新聞原文2014年7月3日)
埼玉新聞原文(2014年7月3日)
安倍政権は、なぜ解釈改憲により集団的自衛権を使えるようにする閣議決定を急いだのでしょうか。世界中の紛争に介入し戦争を起こせる日本の同盟国は米国だけです。集団的自衛権行使の容認に突き進む前に、米国による戦争に巻き込まれる危険性を考えるべきではありませんか。
その危険性を防いできたのは憲法9条です。安倍首相が特定秘密保護法を国民的反対を押し切って強行採決した翌日、「もっと時間をかけるべきであった」反省はどこへ行ったのか。
歴代内閣が仮にも国家の大看板を急いで掛け替えるべきではないと維持してきた9条を急ぎに急いで、一内閣の恣意によって葬り去ろうとしている魂胆はどこにあるのでしょうか。
思 うに、①支持率の高い間に容認決定のタイミング②祖父岸信介元首相から引き継いだ憲法改変への私的執念③お友達ならぬ側近(私的茶坊主懇談会)及び支持団 体の圧力④歴代内閣ができなかった戦争ができる自主憲法へ改変した歴史上の人物になりたい⑤裸の王様(最高責任者)の視野狭窄(きょうさく)(狭さ)、な どでしょう。
もともと第二次安倍内閣は、第一次政権を投げ出した後、民主党政権の失政と小選挙区比例代表制に便乗して復権したのであって、国民的な支持を得たわけではありません。
今日の状況は、戦前の日・独・伊との三国同盟に酷似しています。当時の軍部独裁者は山本五十六以下の大反対を押し除けて参加し、国力四十倍の米国主導の連合国に宣戦して、太平洋戦争に突進、日本全土を焦土と化しました。
戦 争はほとんど例外なく一人の独裁者によって始められています。最近の例ではブッシュ米大統領によるイラク戦争です。このときブッシュが開戦を強行しなかっ たなら、同盟国は集団的自衛権を行使することなく、多数の戦死者を出さなかったでしょう。その後戦火は世界に拡大して、戦死者は増える一方です。
思うに支持率(それも政権にとって都合のよいアンケート)の高いことに慢心し、その間に独裁的な容認を決定したのでしょう。
国家の最高法規である憲法に違反したならその支持率は無効です。殺人の罪を正当な行為、または正当防衛の証明をすることなく、独裁者の解釈により正当化するのと今度の閣議決定は同じであり、支持率がどんなに高くとも憲法違法は正当化されません。
平 和とは戦争がないというだけではなく、戦争ができない保障構造が確立していることです。今の中国は戦前・戦中の日本に酷似しており、軍事力を踏まえて高飛 車になっています。日本は戦争から学習し、中国は何も学んでいません。安倍首相は、自ら安全保障環境を悪化(靖国参拝など)させ、日本が戦争から学んだ教 訓を忘れ、むしろ中国の挑発に乗っています。
戦争が始まれば、必要最小限度の交戦(実力行使)では必ず負けます。戦端が開かれれば、速やかに総力戦に拡大していきます。負けるために開戦する国はありません。
歴代内閣が尊重した9条の改変が正面からでは無理と判断した安倍首相は、急遽解釈改憲に転じて、「私が最高責任者(一番偉い)」と権力を私物化して、集団的自衛権を強行しました。にも拘(かか)わらず、「憲法解釈は変えていない」とは、国民と国を愚弄する詐術です。
戦争の脅威は敵だけではありません。むしろ戦争を始めた国の権力にあります。戦争に勝つために恐怖政治で、思想を統一し、表現、言論、集会その他基本的人権のすべてを圧殺し、戦力として徴兵し、国民を軍の補給源にします。
例えば戦中、女性は指輪、お寺は鐘、農家は馬、犬、商売道具まで徴発(強制的に取り上げる)されたのです。
反 戦・平和を唱える者に、非国民、売国奴とレッテルを貼って弾圧した事実は、当時の国民の記憶に刻みつけられています。戦前、戦中、日本国内に自由という言 葉は、「自由ヶ丘」にしかなく、全国は「通夜のように暗い」と言われました。今の日本がまさにそのようになりつつあり、そうしたのは安倍内閣であることを 忘れてはなりません。
そして、戦争の惨禍が国土を荒廃させ、多数の国民の生命を奪ったころは、戦争を始めた独裁政権は消えています。つまり戦争指導者はその責任を取りません。
広島、長崎、そして三百万を超える戦争の貴い犠牲を踏まえて得た平和憲法を葬る閣議に列席した者は、日本が世界に誇る看板である「不戦憲法」を汚した共犯者として覚悟すべきでしょう。
「私が最高責任者である」とは、権力の私物化ではなく、国家の看板を守る責任のことです。
集団的自衛権(東京新聞インタビュー2014年1月)
東京新聞インタビュー(2014年1月)
全 国で相当数の人が、言論や報道の自由を制約する恐れがある特定秘密保護法案への反対運動に加わったにもかかわらず、議員の数の力で強行採決された。安倍晋 三首相は選挙で勝ったとはいえ、民主党の失政で転がり込んだ「便乗」内閣。にもかかわらず、国民の声に耳を貸さず成立させた秘密法は今後、民主主義を壊す 軸になる。民主主義はもろく、いったん壊れると回復するのは難しい。このまま改憲まで暴走すれば、安倍首相は不朽の汚名を残すのではないか。
政権が進める中国包囲網も軍拡競争を誘発するだけだ。靖国参拝にしても中韓に塩を送る(日本批判の材料を与える)結果になった。戦争もなく安らかに英霊を守っているのは、多大なる戦争の犠牲の上にできた不戦の誓いである憲法九条で、中国包囲網ではない。
終 戦の日の未明に埼玉県熊谷市で空襲を受け、家を焼かれた。治安維持法下で文学少年だった私は、恋愛小説すら没収された。安倍首相が会見で、「特定秘密保護 法が通常の生活を脅かすことは断じてあり得ない」と断言したが、担保はなにもない。治安維持法も当初はそんな目的ではなかった。悪法は、悪貨が良貨を駆逐 するようにどんどん悪くなる。政権が交代すれば、悪法の責任を取れなくなる。歴史は繰り返す。法案は人類の天敵・戦争から学んでいない。
法成立間際に官僚が官僚をチェックする機関の粗製乱造を見ても、いかに秘密法の作成、強行成立の過程がずさんであるかがわかる。これからは、こういう〃誘戦〃法律ができたことを国民が忘れず、廃案に向けて声を上げ続けることが大切だ。
権力の私物化
安倍政権の暴走は、ますます激しくなっている。護憲派、改憲派それぞれの理論を聞いていると、双方共に尤もな論陣を張っている。私は護憲派であ るが、①首相に都合のよい独断人事から始まって、②改憲をし易くする96条改定、③特秘法強行採択、④原発再稼働、⑤集団的自衛権行使容認、そして最高権 限を振りかざして、閣議前の素案断行などを見ていると、ふとおもい当たることがあった。
それは世界に悪名高い各国独裁者たちの言動と実によく似ていることである。
彼ら独裁者は、国民や国家のためではなく、自分の権力を拡大、維持、本人の私的執念を実現するために、権力を私物化している。
戦争は国民から基本的人権を悉く奪い、勝敗がつく前に大量の国民の命が失われ、生存者も恐怖政治の下、精神を統一されている。
人類の天敵・戦争で学んだ教訓を改変しようとして独走している安倍総理は、「ナチに学べ」と言われた通り、祖父から引き継いだ家族的執念をラッキー につかみ取った最高権限にものを言わせて、「美しくみずみずしい」日本を、恐怖政治下の戦争ができる国へUターンさせようとしている。そして総理も与党の ほとんども、戦争を体験していない。
安倍総理は、国民や国のためではなく、個人的な信念を貫こうとしているのではないかと疑念を抱かせる。
―朝日新聞 2014年5月10日付掲載の原文―
不朽の汚名 永久不戦の誓いと英霊
森村誠一
中国の今日は、日本の戦前、戦中によく似ています。軍拡に伴い、軍部の、特に海軍の勢力が強くなり、政府のコントロールをはみだして、東シナ海から南シナ海へ押し出してきました。
防空識別圏を勝手に設定して制空権を強化し、周囲の諸国家を軍事力で恫喝、あるいは圧迫しています。
一方では、思想、表現、言論の自由などが弾圧され、経済力の急成長に伴い、貧富の差は拡大され、国民の大半を構成する貧しい民が置き去りにされています。
軍拡前、なにも言わなかった中国が尖閣諸島の領有を主張して、準軍事行動を強行しています。
また、田中首相による日中国交正常化以後、日本の首相の靖国参拝を黙っていた中国が、干渉するようになりました。要するに、軍拡を踏まえて態度が大きくなったわけです。
しかし、今回の安倍総理の靖国参拝は、戦時中、日本の侵略を受けた中国、韓国等のみではなく、アメリカをはじめ、東南アジア諸国、ヨーロッパ諸国、世界の非難、批判を集めました。
中国の軍事的圧力に対応して、安倍首相は日本の軍備増強を重視しました。永久不戦を国是として規定した憲法9条は、中国に対応する軍拡の目の上のたんこぶでありました。
ならば、9条の直接攻略をあきらめて、国家安全保障基本法案を策定し、解釈改憲によって9条を骨抜きにし、歴代の政権が手をつけなかった集団的自衛権の行使を容認しようとしています。特秘保護法の強行採決の主的(メインターゲット)も9条にあります。
戦争は秘密を前提として開幕します。戦争は人類の天敵であり、国土だけではなく、人間、動植物等の命を奪い、人心を荒廃させ、基本的人権の悉くを圧殺します。
そもそも靖国神社は、明治天皇の意志により、日本の内乱(戊辰戦争の、特に西軍)の死者を祀る神社として創建され、それ以後の戦没者を祭神として祀りました。
日本は明治維新以後、日清・日露戦争から連戦連勝した勢いに乗り、国民に目隠しをして、真珠湾の奇襲から太平洋戦争に突入しました。ミッドウェイの 惨敗以後、連戦連敗を大本営発表で欺き、広島、長崎、また三百万を超える犠牲者を踏まえて、永久不戦の憲法を得ました。9条は日本だけではなく、戦争関連 国のすべてを含めての誓いなのです。
日本は戦争に学び、中国は学ばず、むしろ日本のかつての暴走軌道を踏んでいます。日中国交正常化以後から始まった中国の軍拡は、まさに日本の、そして当時の世界列強の帝国主義(弱国の侵略)を踏襲しています。
そのような時期、中国の軍拡を抑えるための日本の軍備強化は、兜(かぶと)と刀のような関係であって、相互に相手よりも強くなろうとして果てしがなくなります。
軍事力ほど相対的劣化性の速いものはありません。どんな最新兵器を備えようとも、仮想敵国がより優秀な軍事力を備えれば、我が方の兵器は劣化して無意味となります。
日中関係が緊迫している今日の日本の首相の靖国参拝は、いたずらに仮想敵国以下、関連諸国の批判を浴びるだけであります。与党内部からの反対も押し 切って、国のために死んだ英霊に参拝するのは、首相として当然の務めであると主張して強行した結果は、世界の批判・非難を集めました。
この度の靖国参拝を内心最も喜んだのは中国です。軍拡に伴う中国の膨張に対して警戒していた諸国も、この参拝を強く批判しました。中国にとっては 願ってもない風向きであり、参拝者は敵に塩を送りました。謙信が信玄に送った塩のように、弓矢で戦う(戦争)を前提とした塩です。
アベノミクスの立役者が、こんな予想ができないはずはありません。祖父の岸元首相時代からの憲法改定を的にしての権力の私物化です。
純粋な鎮魂行為が靖国詣の大義名分となっていますが、霊璽(れいじ)に奉記(安)されている戦没者の大多数は、国民皆兵のもと、一家の大黒柱や市民や学徒で、一銭五厘の赤紙(召集令状)によって家庭や学舎(まなびや)から戦場へ否も応もなく引きずり出されたのです。
戦争主導者や、職業軍人以外の英霊は、すべて戦争によって殺害された被害者であることを忘れてはなりません。靖国はその英霊をやわらかく抱き、9条が、二度と同じ過ちを犯し、新たな英霊をつくることのないように守っています。
それが中国の軍拡に脅かされて、特秘法の強行採決や、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認など、戦争を誘発するような首相の参拝断行は、むしろ英霊の安らかな眠りを妨げるものであります。
「国民との約束」という言葉を参拝の動機にしていますが、そんな約束をしたおぼえのない国民のほうが多いのです。靖国の英霊は、憲法9条によって、戦争の再発を守られているのです。
この度の総理の靖国詣は、英霊の鎮魂でもなければ純粋な慰霊でもありません。違憲の疑い濃厚な(20条3項)宗教活動であり、単なる政略の一環として、前・元政権に対する国民の失望に便乗して奪還した政権を確定するためのパフォーマンスにすぎません。
参拝したければ、諸外国の批判のもとになるようなポストを下りてからすればよろしい。
靖国は軍国主義のシンボルでもなければ、遺跡でもありません。「靖国」の本来の語意は、国を安んずる意味であり、人類の天敵、戦争を二度と起こさないと保障した9条が守る英霊が眠る聖域なのです。
解釈改憲を試みる前に、むしろ靖国の解釈と、英霊を殺したものはなにかを考えるべきでしょう。
英霊のために永久不戦を誓った憲法を、任期限りの政権が改め、戦争を誘発しやすい地盤を固めつつある為政者となる者は、戦争の尊い犠牲と学習を無意味にする、むしろ天敵の味方として歴代内閣最悪の首相として不朽の汚名を残すでしょう。
(埼玉新聞 二〇一四年一月二十六日掲載)
特定秘密保護法案に反対
森村誠一
国民の過半数、全国的な反対の声に耳を貸さず、特秘保護法の強行採決に無力感に陥った人は多いだろう。前政権に失望した国民は、現政権に一票を投じたことを後悔しているとおもう。
現政権を見ていると、民主主義はあり得ないというおもいを強くする。国民から選ばれた政権が任期中、国民の意思を無視して発動できる強権は、独裁政治となんら変わりない。
国民がどんなに異議申し立てをしても、国会で過半数が賛成すれば、可決、成立する。
首相は記者会見において、
「特秘法が通常の生活を脅かすかことは断じてあり得ない。いまある秘密の範囲が拡がることはない。民間人の厳罰とか、映画などの自由な創作活動が制限されることは決してない」
と語ったが、それは首相の発言だけであり、その言葉を担保するものはなにもない。
つまり、国民から大枚の借金をして、なんの担保もなくそのうちには必ず返すと言っているようなものである。
特秘法を強行成立させた政権が交代すれば、悪法の行方の責任を取れなくなる。囂々(たる世論の反対に耳を閉ざし、特秘法の担保としてウォッチャー(チェック機関)を乱立しているが、その機関そのものが、同じ穴の狢(である官僚である。
同じ穴の狢のチェック機関の粗製濫造を見ても、いかに特秘法の作成、強行成立の過程が杜撰(であるかがわかる。
日本が太平洋戦争で国を誤った国策と、支払った貴重な犠牲を二度と繰り返すまじとの永遠の誓いを込めた憲法の精神を、根本から破壊するような特秘法を上程しながら、具体的な担保はなにもない。
この政権下、内閣法制局長、日銀総裁の更迭、NHK会長の退任表明を見ても、いかに権力を維持するための暴走であるかがわかる。
成立、公布、施行後、この法律がどんなに強化、拡張されようと、任期切れ、解散、総辞職等で現政権が交代すれば、だれが責任を取るのか。
憲法の精神は一代の政権が安易に枉げるべきではないのである。憲法の精神は国家の精神であり、これを枉げようとする者は、政権を私物化している。
中国との緊張が高まっているとしても、アメリカと同盟して、世界の戦争に引きずり込まれる名分にはならない。
太平洋戦争中、ミッドウェイの惨敗以後、〃転進〃(退却)をつづけた事実を糊塗して、国を誤らせた大本営発表は、まさに特秘保護法の原形である。
例えばミッドウェイ海戦で、正規空母四隻を一挙に失った大惨敗を、「日本海軍の圧勝、我が方の損害は軽微なり」と大本営は発表し、日本全国で提灯行列が行われた。それ以後、連戦連敗を重ね、広島、長崎を経て、敗戦の日まで「転進」と発表しつづけた。
ある紙の社説に、「治安維持法になぞらえた批判に驚く」とあったが、それこそ驚きで、現首相が強行した悪法とは一代限りではなく、累代相続され、必ず強化拡張されて,治安維持法の再生となる。
反対市民のデモをテロ行為と呼ぶような与党幹事長が、次期政権担当の椅子を狙っていることを忘れてはならない。
善いことを強化するよりも、悪いことを強化するほうがはるかに楽であり、「悪貨は良貨を駆逐する」のが原則である。
広島、長崎以下、戦争の犠牲を全く無意味にする悪法成立の前で、無力感に陥ってはならない。
この悪法を阻止するために、国民はますます声をあげ、全国的な悪法阻止運動を盛り上げていくときであるとおもう。
朝日新聞(2013年12月10日「声」欄)に大意掲載
アベノ混同(ミックス)十戒
森村誠一
一、特秘保護法案は民主主義に対する挑戦です。
「民は由らしむべし、知らしむべからず」を前提とした特秘法案は、国民の知る権利を制限、あるいは抑圧、そして基本的人権の悉(ことごと)くを奪った、かっての日本軍国主義で十分に経験しているはずです。
二、歴史的、また世界的にも特定秘密は権力維持のためにあり、国家安全保障を大義名分にして国民の基本的人権を圧殺します。秘密の特定は、権力が押しつける悪法となります。
三、悪法の発案時は、その範囲は狭く弱いけれども、いったん成立、公布されれば、必ず強化、拡張されます。
例えば元禄期、「生類憐みの令」は動物愛護の精神から発して、鳥一羽殺しても、人命まで処刑の対象に拡大しました。
治安維持法は、本来は関東大震災の治安維持を目的としたのが、太平洋戦争と共に思想、表現などの自由を圧殺しました。
四、情報管理人の「適性評価制度」はプライバシーの侵害と同時に、法案を提出した政府にとって都合のよい人物を選ぶことです。
五、改めて特秘保護法案などを提出するまでもなく、国家公務員法や自衛隊法など、既成の法律によって国家機密は保護されています。既成の秘密保全法案が甘いと指摘して、特秘法案が案出されたのも、悪法の強化、拡張の見本です。
六、特秘保護法案の前提である情報公開制度は未熟であり、その上に国民の基本的人権を奪う、戦争のできる要塞を築こうとしているようなものです。
七、特定秘密の定義と範囲が極めて曖昧であり、「知る権利は十分尊重し、報道、取材の自由への配慮をする」など、極めて抽象的な言葉しか聞こえません。
八、秘密をチェックする第三者機関を設けて、特秘法を発案した首相自身が関与すると聞いて仰天しました。「鶴の一声権」を持った者が、本人がつくった法案のチェックに関わるとは、一体どういう神経の持ち主か。改めて特秘法案の危険性を痛感します。
九、タカとハトが同数で向かい合えば、必ずタカが勝ちます。
圧倒的多数のタカが構成した第二次安倍政権によって提出され、国会の審議にかけられている特秘保護法案は、歴代の短命内閣、東日本大震災、これに伴う福島第一原発の事故、そして自民党内人気先順位者が相次いで総裁を辞退した潮流に便乗した危険法案です。
集団的自衛権のブレーキである内閣法制局長官の首を勝手にすげ替え、憲法96条から9条に迫り、国家安全保障基本法を成立させて、9条の上位に坐ろうとしている狡猾な権力の運営がありありと見えます。
副首相が、ナチに見習えと言ったように、特秘法案は、ヒトラーが、比較的よくできたワイマール憲法を打倒する全権委任法(内閣をオールマイティにする)を 提出して、憲法を無視、また職業公務員再建法を発して、都合の悪い人間(ユダヤ人)を追放した手口にコピーのように似ています。
十、第一次政権を無責任丸投げして、時の潮流に便乗、復帰した第二次政権が、なぜ民主主義の根幹を揺すぶるような反対法案の成立を急ぐのでしょうか。
最も悪い時期に、最も不適切な為政者が、一時的な経済の回復を踏まえて、最も危険な法案を提出し、タカ派国会の審議にかけようとしています。
この法案のきっかけとなった国家安全保障基本法のさらに源となった尖閣問題についても、彼我(日中)同じテーブルについて話し合おうともしません。
戦争可能な要塞を構える前に、基本的人権を守り、戦争の誘発を防ぐシステムをつくることが先決です。
埼玉新聞(2013年11月26日)に大意掲載
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