学生時代・作家まで – 山の写真5

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学生時代から社会人1~3年ごろにかけて、北アルプスを中心に盛んに山に登った。当時の山仲間とは社会の八方に別れて、いまは消息のわからない者もいる。

だが当時、未知の山巓(さんてん)に憧れて共有した山頂の大展望や、次に登るべき山々から迫られた新たな約束は、いまでも新鮮な記憶となって心に刻みつけられている。

私の青春はまぎれもなく山と共にあった。そして、そのことが私の人生の宝物となっている。山と共に友情を培い、文章を綴り、詩を書き、そして愛機「パール」に青春の一コマ一コマを印影した。


剣立山から三俣蓮華岳に向かう縦走路。
当時はアルプスダイヤモンドコースと呼ばれた。


薬師岳手前にて。

「時には昔の話を」  加藤登紀子

時には昔の話をしようか
通いなれた なじみのあの店
マロニエの並木が窓辺に見えてた
コーヒーを一杯で一日
見えない明日を むやみにさがして
誰もが希望をたくした

ゆれていた時代の熱い風に吹かれて
体中で瞬間(とき)を感じた そうだね

道端で眠ったこともあったね
どこにも行けない みんなで
お金はなくても なんとか生きてた
貧しさが明日を運んだ
小さな下宿屋にいく人もおしかけ
朝まで騒いで眠った

嵐のように毎日が燃えていた
息がきれるまで走った そうだね

一枚残った写真をごらんよ
ひげづらの男は君だね
どこにいるのか今ではわからない
友達もいく人かいるけど
あの日のすべてが空しいものだと
それは誰にも言えない

今でも同じように見果てぬ夢を描いて
走りつづけているよね どこかで


別山乗越にて。


立山頂上から五色ヶ原、薬師岳方面を望む。

「雲霧の唄」(自作)

太陽が天心を過ぎると
鳴りをひそめていた
雲霧は
待ちかまえていた様に
一斉に踊り出た

草原に
だんだら模様の雪田に
光と影が慌しく交代して
山々はやがて始まる
壮麗な夕暮に向って
ゆっくりと歩いて行く


五色ヶ原にて。


浄土岳付近から立山をふり返る。

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