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車山頂上付近から蓼科山、白樺湖方面を望む。
当時は展望の壮大な茫漠たる高原風景が広がっていたが、現在は都会並みの混雑を呈しているという。
「薫風の山」(自作)
光は
一つの愛の約束の様に
柔かく明るく山々をつつんでいた
五月の風に
花々の香が運ばれて
キラキラと降りそそぐ時
人々は都会の歯車の
生活を忘れて
空の青に
指を染めるばかりに
背伸びをした
大学後期、私は肺浸潤と誤診されて、リュックいっぱい本をつめ込んで、八ヶ岳中腹の稲子小屋に1週間ほど滞在した。連日、岳の方角に向かう登山者の列を見 送りながら、私は朝から暗くなるまで、近くの白樺林に寝転んで、ロマン・ローラン、ジード、ドストエフスキー、ヘルマン・ヘッセなどの作品を読み耽った。 自分は将来、どの方角へ向かうのかまったく見当もつかず、自分探しすらしていなかった私は、書物の中に逃避していたのかもしれない。だが、稲子小屋での数 日の滞在は、奇妙な充実感があった。
26歳ごろ、車山頂上。背後の山は蓼科山。
車山頂上。背後は蓼科山。山の神が祀られているという。
美ヶ原。三城牧場にて。
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