第四歌集「愛と死の歌」 – 従軍看護婦のために

261、国のため散った花あり看護婦の心たましい星に帰れよ
262、白百合を見て想うのは美しい看護婦たちの国への奉仕
263、花散れど雪降れどその悲しみは従軍看護婦その魂のごと
264、その涙美しきかな看護婦はこの国のため命を捨てる
265、誰一人わかってくれなくてもいいの従軍看護婦わたしはひとり
266、わたくしは涙こらえる看護婦は泣いてはならぬお国のために
267、空を見て母を想えど看護婦はお国のために花と散ります
268、桜散れ従軍看護婦わたくしは傷つき人を助けるさだめ
269、その傷の余命しりつつ慈悲深いまなざし向ける従軍看護婦
270、父母想い逝く軍人に看護婦は花を手向ける忘れな草を
271、月の夜想いだすのは恋の歌従軍看護婦ひとり涙す
272、野のゆりの雫は私の涙です従軍看護婦清き魂
273、あの鳥のようにこの空ゆけたなら従軍看護婦いのちのつぶやき
274、どんなにか身をつくすその気高さよ花の魂 従軍看護婦
275、野の露と散ってもいいのわたくしは一人の名もなき従軍看護婦
276、撃たないで大事な患者がいるのです私は野に咲く従軍看護婦

*作者都合により番号に欠損があります。

魂の切影写真集

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従軍看護婦のために辞世の短歌未発表作品