第四歌集「愛と死の歌」 – 第六回

112、病室の窓にも等しくモクセイの香は立ちのぼる優しい気配
113、夜の月の光もらってモクセイは金色に咲くただひっそりと
114、嵐の夜ふたりマスクメロンをそっと割り静かな夕べの誓いとします
115、クリスマス・イヴにもとめたカランコエ黄色い花も五年目になる
116、点滴に秋の光はゆらめいてあなたとふたりの時間が過ぎる
117、もう一度できるのならばあの人と指をつないで散歩がしたい
118、透きとおる色香をまとう朝の百合あなたと共に深呼吸する
119、真白な季節外れのくちなしに雨は何を想って降るのだろうか

魂の切影写真集

第四歌集「愛と死の歌」
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従軍看護婦のために辞世の短歌未発表作品