84、この猫のこんな小さな命さえ救えぬ私を神よいま打て
85、わたくしが代わりになってあげたかった子猫をどうして殺したのです
86、この子さえいれば私はよかったの世界が全て敵であっても
87、わたくしの涙を天の神様の子猫のもとへ届けてください
88、知ってれば私が先に死んだのにたむける言葉もなく花を摘む
89、もう一度わたしの胸に抱きたいの尊いいのち返してください
90、抱きしめて膝にだければわたくしは何もなにひとついらなかったの
91、魂よ死んでしまった魂よ小さな猫よ戻っておいで
92、もう二度と悲しい思いはさせぬから子猫よ生き返ってきておくれ
93、死んだ子に私の命あげるからもう一度だけ幸せに生きて
94、わたくしは猫の命の代償に自分の命をいま差し上げます
95、身代わりになって死んでくれたのね野菊束ねて墓に供える
96、自らの命を断ったこの猫の心想って見る 秋の空
97、この猫が私の存在意義を問う命を賭けて生きることの意味を
第四歌集「愛と死の歌」
第一回|第二回|第三回|第四回|第五回|第六回|第七回|第八回
従軍看護婦のために|辞世の短歌|未発表作品